(ウインドウを閉じる)

音楽倉庫−感想編 音楽倉庫−感想編

曲名A.ヴィヴァルディ  四季−協奏曲集「和声と創意への試み」より
感想
 普段、このコーナーに演奏曲の感想を書く時は大抵、演奏会直後の興奮醒めやらぬ状態を引きずったまま、思いの丈を好き放題書きなぐることが多い。 今回もそうありたかったんですが、ふと日々の雑事に紛れてしまいました。 今はもう秋。 これではいかんと書きかけのテキストファイルを開いてみたけれど、どうも上手くその続きが書けない。 うーん、一体どうしたことだろう。弾き終わったあとの充実感は予想外の大きさだったのにな・・・・

   しかし。気を取り直して書いてみましょう。
 今回のメインだった「四季」ですが、今さら語る必要もないほど有名な曲です。 私という人間は、例えばベストセラー本は絶対買わないとか、ヒットしている映画は意地でも観ないとか、要するに超メジャーなものに対して激しく拒絶反応を示してしまう(そう言いながら今はモーツァルトにすっかりはまっていたりしますが…)いわゆる「ヘンコ」です。 「四季」はそういう対象にぴったり当てはまってる。つまり、よからぬ偏見で頭がいっぱい。 おまけに曲の難易度に恐怖心を抱いている状態。

 思うに、弦楽器を弾く人の中には、バロックは簡単だと思っている方もいらっしゃるように感じますが、私は個人的にそれは絶対違う!と言いたい。 アマチュアの演奏で「あまり上手じゃなかったけど、頑張ってたし、気持が伝わってきて良かったよ」と言ってもらえるケース、じゃないケースに当てはまる頻度が高いのが「バロック」ではないかと思う。
 確かにバロックはとっつきやすいとは思います。 弾いていて気持ちよさを感じる度合いも高いかもしれない。 入門者が練習の対象として選択できるような曲も多い。 でもそれを人に聴いてもらったとき、果たしてどうなのか・・・? どんな音楽でも楽譜に書かれた音符を正確に再現できることが大前提で、でもそれだけじゃ聴くに値する音楽にならないのですが、この点について、弾いてる本人の満足度と聴いてる他人の満足度のへだたりが予想以上に大きいのが「バロック」なのだ!というのが、たかだか15年ほどの弦楽器人生において私が得た、ある種確かな感触なのです(妙に力説する・・・)。

   tuttiの練習は、正直つらかった。 音程や発音や移弦のタイミングなど、基本をきちんと積み上げる努力を怠っている私には、そこのところをビシビシ突いてくる曲でした。 ひたすら、地道に、正確に弾けるよう、ゆっくり反復練習することから始めるしかない。 でも、大先輩のTさん曰く「1人で練習する気がしないのよ」、この言葉がすべてを言い尽くしているように、個人練習はまさに「苦行」という感じなのでした。

 ・・・で、今回の演奏会の「四季」は、要は全然良くなかったのか? というと、大きく「NO!」です。 それはひとえに、ソリストの素晴らしい演奏のお陰につきる。
 私自身は最後まできちんと弾く事なんてできませんでした。 音程も音符の長さもリズムも発音も・・・大抵よろしくなかったです。 でも独奏の迫力に引きずられるように集中している自分を発見しました。 茨木アンサンブルはアマチュアの弦楽団ですが、ソリストの鍋嶋芳さんは本職です。 本職なんだったらまあ良く弾いて当たり前という考えもありましょう。 でも、今回の鍋嶋さんの「四季」のソロはこれまでで最高だったと思います。 「四季」全曲通しで弾くなんてプロもなかなかやらないよ、とトレーナー服部先生も言っておられましたけど、そんな重圧をはねのけるような、輝きにあふれた演奏でした。 

 おかしな偏見は正しい心の目をふさいでしまいますね・・・この曲、すごくいい曲だったんだ、ってやっとわかった。 ただ美しく耳触りがいいだけじゃない。 ヴィヴァルディが精魂込めて書き上げた、とても新しい響きのバロック音楽。 見たことのないような風景が目の前に鮮やかに現れるような感覚がありました。 そしてバロックを弾くのは本当に並大抵のことじゃない。 ますますその思いを強くしたのでした。(2006.9.13) 

演奏会の名称茨木アンサンブル 第18回コンサート
弾いた日2006.7.15
弾いた場所茨木市クリエイトセンター センターホール
他の演奏曲W.A.モーツァルト セレナーデ第13番ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
J.S.バッハ ブランデンブルグ協奏曲第3番(弦楽合奏による)

ha_small.gif

(ウインドウを閉じる)