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音楽倉庫−感想編 音楽倉庫−感想編

曲名F.ザイツ 学生のためのヴァイオリンコンチェルト第5番 ニ長調 作品22 第1楽章
感想
 今回の文章、演奏の感想というよりは、レッスン再開に関する非常に長ったらしい自問自答、になってしまいましたがとりあえず。

 約2年間お休みしていた個人レッスン(ヴァイオリン)を、今年始めから月1回のスローペースで再開しました。 今やヴァイオリンに関しては、何かと自分で課題を設定しないと「弾く」行為から遠ざかる一方です。 さらにオケでヴィオラを弾き始めてから、弾く事に対する姿勢が何となく中途半端になりつつある。 弾かないといけない曲が多すぎて、どれも「えーい!」って感じでがちゃがちゃ弾いておしまい。 もちろんオケは楽しいのですが、このままだと、この「エーイがちゃがちゃ」弾き、みたいなのが癖になってしまいそうで何だか不安になってきた。
 最初の計画では、来年2月の発表会に向け、1年計画でなんとか1曲のはずでした。再開して「弾けなくなってる!」のを痛感。歳のせいもあるしなあ、なんて思っていると、先生のご都合により発表会の日程が年内になってしまいました。最初の曲はバッハのドッペルコンチェルトの第2バイオリンだったのですが、これはとても間に合わない。 別に発表会に出たいとか、人前で弾きたいとか全然ないんですが、発表会は個人レッスンでひとりで弾いている者にとっては、普段ない緊張と集中に身を晒し、自分に刺激を与えるのに本当にいい機会です。 何とかしたいなあ、と思って過去の教本をめくってみて「これは?」と思ったのがザイツのコンチェルトでした。
 フリードリヒ・ザイツは19世紀後半から20世紀初めに活躍したロマン派の作曲家でヴァイオリニスト。 5曲の「学生のためのヴァイオリン協奏曲」は割と有名だそう。 私が弾く事に決めた5番の1楽章は基本的に第1ポジションのみでの演奏が可能です。 ポジション移動という大きな課題がない分、他の所に注意を払うことができそうだ。 先生に相談してみると全く同じ事を思っておられたようでした。 スズキメソードの教本には5曲中から3つの楽章が取り上げられていますが、5番の1楽章は、最初思い切りよく始まって、そこをしっかり弾けたらあとは中休みもなく勢いで弾けるのでは?以前レッスンでもやっているし…という先生の意見でこれに決定。

 ・・・しかし。 この思惑はミゴトに外れることになった。 思い切りよく弾き始めるべき最初の2分音符2つがまずそれらしく弾けない。 先生曰く「なんだかとってものんびりした曲みたいです」相棒曰く「小学生のヴァイオリンのお稽古」…みんなはっきり言ってくれますネ。 半ばから後半のチャカチャカ弾くところは意外とマシに弾ける。 これはきっとオケで細かい音符ばかり弾いていることの、いわゆる「怪我の功名」でしょう。
   とにかく最初の所だけしつこく練習。 勢いをつけて飛び出す感じは何とか出てきたと思っていたら、発表会1週間前のピアノ合わせを聴きに来た相棒が、帰りの車の中で「最初に気を遣うのはええけど、なんかそこだけ別物のようび浮き上がって非常に不自然。 その続きの音楽と全然繋がってないし、音楽になってない。」「注意されたことに気をつけるのは必要だけど、単純に機械的に言われた通りにやるだけではあかん。 先生もそういうことを言ってるんと違うと思う。 それよりも、自分がどんな音で弾きたいか、どんな音楽したいのか、そこから音を考えて出していかないと、聴いてる人に何も訴えるものがないで。」
 実は、同じ日にリハーサルをした大学生(まだレッスンを初めて間もない)が、まだ初歩の曲なのですが、一つ一つの音を音楽にしてる、って感じで弾いていて、聴いている私の中にすーっとそれが入ってくるのを感じて少なからずショックを受けたのですが、相棒のきつ〜い言葉がそんな気持にとどめを刺した。

 確かにね・・・そういうのはいつのまにか抜け落ちておりました。 今回、それほど難易度の高くない曲を選んで、そのかわり一つ一つの音を大切にきっちり弾いて、少しでも音楽的な演奏をしよう、なんて大それた事を考えていたのですが、実はそういう理由で選曲した時点から、道を踏み外していたのかもしれません。 難しいけど、この曲大好きだから、絶対弾きたい! その気持ちがあればそれだけで、聴いてる人に弾き手の心の音楽って伝わるものだと思いますが、まずそれさえ・・・なかったかも。

 レッスンでは確かに、指摘された部分を直すことにまず注意が偏りがち。 一方でそれを求めてレッスンを受けているという部分もあるのですが、でも、レッスンを受けたこともなく弾き続けているヴィオラに関して言えば、まず自分の中で自由に「こんな音で」「こんな音楽を」と考え、そして音を作る努力をする事が当たり前になっていることに思い当たります。 どちらも、とても大切で、どちらがなくてもダメなんですね。

 本番の出来栄えはというと、久々の独奏ということでかなり緊張し、右手のビブラート(経験者にはおわかりだと…)が強烈にかかった瞬間が多々ありました。 でも、当日の朝まで続いた相棒の特訓のおかげで「自分の考えた音」に少しはなってたかなと思います。 弾き終えて、少しすっとした感覚もあり、リハーサルより格段に楽しく弾くことができました。 久々の発表の機会、いろんなことを改めて考えさせてくれる機会でもあったと思います。 (2006.11.8) 

演奏会の名称奥田ヴァイオリン教室 発表会
弾いた日2006.11.4
弾いた場所伊丹アイフォニックホール 小ホール

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