(ウインドウを閉じる)

音楽倉庫−感想編 音楽倉庫−感想編

曲名J.ブラームス 交響曲第4番ホ短調作品98
感想
 ブラームスのこの4番目の交響曲は、ブラームスが書いた最後の交響曲だということを、本番直前に知りました。 今まで弾いたことのあるベートーヴェンやドボルザーク、チャイコフスキーはもうちょっと後の番号だったため、ブラームスもきっとこの後にもっとあるのだろうとか、すごく馬鹿な事を考えつつ練習しておった次第。

 この超有名な交響曲について、私などが語る余地はすでに残されていないものと思いますが、最初の印象は「交響曲ってこういうのもあるんだな」という不思議な感じでした。 まだ交響曲歴(などというものがあるとすればですが)が非常に浅い私ですが、今まで弾いた数少ないものより、何というかとても室内楽的な雰囲気を感じました。 繊細で内面的というか、ばーん!ドーン!という感じじゃない。 内にこもったものがどーっとあふれる瞬間はあるんだけど。

 第1楽章がいいです。 いろんなパートの音が絡み合い、繊細だけど気持を時に激しく吐露する感じ。 静かな旋律に遭遇していつも一瞬息を詰めている自分を感じる一方で、押さえきれない感情が激しくせり上がってきて押し流される。 何というかすごく人間ぽいというか…うまく言い表せませんが。 1楽章を弾き終わると、もうこの楽章だけでいいや、っていつも思いました。 もちろん、あとの楽章も素晴らしいのですよ。

 ずっと聴いていたCDはカルロス・クライバーのものです(相棒の熱愛する)。 美しくクリアで繊細で非常に推進力があり、かつ悲しさに溢れる素晴らしい演奏です。 家には他に、ブラームスならこれだ、といわれる所のワルターの指揮のレコードもありました。 本番までには映像でもクライバー、マリナー、そしてカラヤンのものを見ました。 が、みんな演奏が違う。 例えば音の長さとか、発音の仕方に始まって、いろんな事がそれぞれ違う。 同じ曲でもこんなに違うんだなあ、って。
 相棒が以前、すごくうまいこと言ってました。 楽譜に作曲家が「ここは青で塗って下さい」と書いてあるとする。 しかし青にはいろんな青がある…どんな「青」で塗るのか。 その違いが表現の違いだって。 でも「青」って書いてあるのに「赤」を塗るのは間違い。 「青」なら「青」で塗ることが作曲家の意図を尊重するということ。 わかりやすいたとえだなあと感心しました。 たまには鋭いこと言いますよね。

 この曲について色々語りたいなあと思っていた本番前ですが、実はそれを吹っ飛ばすような出来事が起こってしまった。 第3楽章の終盤で、なんと弦が、A線が切れたんです。「ブチーン」と音立てて。
 その瞬間は一体何が起きたのかわかりませんでした。 目の前にゆらゆら揺れてる弦とおぼしきものによりその事実をようやく把握した。 楽章が終わり、隣のTさん(とても頼りにしてました!)に「弦が切れましたがどうしましょう」と言ったら「そのまま弾いたらええ」と言われ、そうか、このままいくしかないなと思ったのもつかの間、何と後ろの席から「交換用の弦」が回ってきた・・・えぇ!!!この場で交換せよということかっ!!!
 オケも指揮者も「待ちの体勢」に入ってからは地獄のようでした。 目には涙と汗がしみて、糸巻きの穴に弦がなかなか通らない。 でもみんな待っててくれてるし、何としてでも通さねば・・・永遠に続く拷問のような時間が。 やっと通って調弦して残りの第4楽章を弾きましたが、弾き始めて一番低いC線が狂ってることに気づいた! ここだけ妙なポジション移動をしつつ、もう必死。 何が何やらわからん内に終わってしまいました。 
   今回、ビオラはオケの外側の配置であり、私はさらに外側の席に座っていたため、その一部始終はたくさんのお客さんの目にさらされることになりました。 聴きに来ていた母曰く「全く慌ててるようには見えんかったよ。落ち着いてはりました。」 チェロパートの中にいた相棒に至っては「あいつ、こんな時に何のんびりのんびりやってんねん!信じられん!あーっ!」 足も手もがくがく、心臓の鼓動が周りに聞こえるんでは?という状態だったのに、それは全く外ににじみ出ていなかったらしいです。 なんて損な人間。

 本番後はたくさんの人に慰めと励ましの言葉をいただきました。 みんな待ってる間、どんな気持だったでしょう…考えると恐ろしい。 演奏にも何かしら影響を与えてしまったと思うと本当に申し訳ないです。 私自身も、この曲を二度と弾かないかもしれないと思うと…。 しかし、この曲が生涯忘れがたい曲となったことは間違いない。 それだけは確かな事実です。(2008.4.30) 

演奏会の名称西宮交響楽団 第92回定期演奏会
弾いた日2008.4.27
弾いた場所西宮市民会館 アミティホール
他の演奏曲 チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ  チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23

ha_small.gif

(ウインドウを閉じる)